西カフカス山脈とは
西カフカス山脈は、ロシア連邦南部の黒海沿岸からエルブルス山に至るカフカス山脈の西端部を指し、1999年に世界自然遺産に登録されました。この地域はヨーロッパにおいて、人間の影響をほとんど受けていない唯一の広大な山岳地帯であり、その手つかずの自然と豊かな生態系が高く評価されています。
遺産の概要
| 所在地 | ロシア連邦 |
| 登録年 | 1999年 |
| 遺産種別 | 自然遺産 |
| 登録基準 | (ix), (x) |
主な価値
西カフカス山脈は、氷河期の影響を比較的受けなかったため、多くの固有種や遺存種を含む多様な動植物が生息する「生物の避難所」となりました。低地の森林から亜高山帯の牧草地まで、多様な生態系が垂直的に分布しています。
- 登録基準 (ix) 生態系: 隔離された環境で独自の進化を遂げた生態系の顕著な見本です。特に、ヨーロッパバイソンが野生で再導入され、その個体群が維持されている重要な場所です。
- 登録基準 (x) 生物多様性: 驚くほど豊かな植物相と動物相を誇ります。コーカサスツウリ(セッケイ)の森や、多くの固有種を含む植物の多様性は特筆に値します。また、ヒグマやオオカミ、オオヤマネコなどの大型哺乳類も生息しています。