この記事では、世界複合遺産について解説しています。
世界文化遺産、世界自然遺産について知りたい方は下記の記事をご覧ください。
世界複合遺産とは
文化遺産と自然遺産の両方の価値を兼ね備えているもので、登録基準(ⅰ)~(ⅵ)のいずれか1つ以上および(ⅶ)~(ⅹ)のいずれか1つ以上を認められる遺産を複合遺産と呼びます。
文化遺産、自然遺産のように世界遺産条約で定義されているわけではなく、両方の登録基準に該当する場合に複合遺産と呼びましょうという作業指針で定義されています。
代表的な複合遺産
ただでさえ基準の厳しい文化遺産と自然遺産それぞれの基準を満たすものだけが複合遺産と呼ばれるため、数は非常に少ないです。
- マチュ・ピチュ(ペルー)
- ウルル、カタ・ジュタ国立公園(オーストラリア)
- 泰山(中国)
日本には複合遺産はありません。富士山が複合遺産に当たるのではないかと思う人もいるかもしれませんが、富士山は文化遺産の登録基準しか満たしていません。
参考:世界遺産の登録基準
(ⅰ)人類の創造的資質を示す傑作。
(ⅱ)建築や技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展において、ある期間または世界の文化圏内での重要な価値観の交流を示すもの。
(ⅲ)現存する、あるいは消滅した文化的伝統または文明の存在に関する独特な証拠を伝えるもの。
(ⅳ)人類の歴史上において代表的な段階を示す、建築様式、建築技術または科学技術の総合体、もしくは景観の顕著な見本。
(ⅴ)ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落や土地・海上利用の顕著な見本。または、取り返しのつかない変化の影響により危機にさらされている、人類と環境との交流を示す顕著な見本。
(ⅵ)顕著な普遍的価値をもつ出来事もしくは生きた伝統、または思想、信仰、芸術的・文学的所産と、直接または実質的関連のあるもの。(この基準は、他の基準と合わせて用いられることが望ましい。)
(ⅶ)ひときわ優れた自然美や美的重要性をもつ、類まれな自然現象や地域。
(ⅷ)生命の進化の記録や地形形成における重要な地質学的過程、または地形学的・自然地理学的特徴を含む、地球の歴史の主要段階を示す顕著な見本。
(ⅸ)陸上や淡水域、沿岸、海洋の生態系、また動植物群集の進化、発展において重要な、現在進行中の生態学的・生物学的過程を代表する顕著な見本。
(ⅹ)絶滅の恐れのある、学術上・保全上顕著な普遍的価値をもつ野生種の生息域を含む、生物多様性の保全のために最も重要かつ代表的な自然生息域。
(ⅰ)~(ⅵ)が文化遺産の登録基準、(ⅶ)~(ⅹ)が自然遺産の登録基準です。
詳細は世界遺産の登録基準についてをご覧ください。