ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)とは、フランスのパリに本部を置く国際連合の専門機関で、フランスやイギリス、アメリカ合衆国を中心として1945年に創設されました。20カ国の加盟国で実際に発足したのは1946年11月4日のことです。
UNESCO(United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization)と表記されることもあります。
ユネスコの目的
教育や科学、文化を通じて諸国民の協力を促進し、人種や性、言語、宗教の差別なく正義や人権、基本的自由が尊重される世界の平和と福祉に貢献することを目的としています。
ユネスコ憲章前文からは、第二次世界大戦で傷ついた国々が世界遺産を祈り作り上げた活動理念であることが感じ取れます。
ユネスコ憲章前文
この憲章の当事国政府は、その国民に代って次のとおり宣言する。
戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。
相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であり、この疑惑と不信のために、諸人民の不一致があまりにもしばしば戦争となった。
ここに終りを告げた恐るべき大戦争は、人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主義の原理を否認し、これらの原理の代りに、無知と偏見を通じて人間と人種の不平等という教義をひろめることによって可能にされた戦争であった。
文化の広い普及と正義・自由・平和のための人類の教育とは、人間の尊厳に欠くことのできないものであり、且つすべての国民が相互の援助及び相互の関心の精神をもって果さなければならない神聖な義務である。
政府の政治的及び経済的取極のみに基く平和は、世界の諸人民の、一致した、しかも永続する誠実な支持を確保できる平和ではない。よって平和は、失われないためには、人類の知的及び精神的連帯の上に築かなければならない。
これらの理由によって、この憲章の当事国は、すべての人に教育の充分で平等な機会が与えられ、客観的真理が拘束を受けずに探究され、且つ、思想と知識が自由に交換されるべきことを信じて、その国民の間における伝達の方法を発展させ及び増加させること並びに相互に理解し及び相互の生活を一層真実に一層完全に知るためにこの伝達の方法を用いることに一致し及び決意している。
その結果、当事国は、世界の諸人民の教育、科学及び文化上の関係を通じて、国際連合の設立の目的であり、且つその憲章が宣言している国際平和と人類の共通の福祉という目的を促進するために、ここに国際連合教育科学文化機関を創設する。
文部科学省「国際連合教育科学文化機関憲章(ユネスコ憲章)/The Constitution of UNESCO」
ユネスコの加盟国数と地域事務所
2021年6月時点で、ユネスコには193カ国が加盟しています。また、連携メンバー(Associate Member)として11地域が登録されています。
ユネスコには地域事務所が世界に53ヶ所あり、4タイプに大別されます。
- 地域レベルの活動を管轄する地域事務所(クラスターオフィス:Cluster Office)
- 事業活動の円滑な実施のために特定の国に置かれる地域事務所(ナショナルオフィス:National Office)【原則として時限的に設置】
- 特定の分野について地域及び地域事務所等への助言等を行う地域事務局(リージョナルビュロー:Regional Bureau)
- 国連及び他の国連関係機関との連絡調整等のために置かれる連絡事務所(リエゾンオフィス:Liaison Office)(ニューヨーク、ジュネーヴ、アディスアベバ、ブリュッセル)
日本は北京事務所が管轄になっています。
日本には日本ユネスコ協会連盟と日本ユネスコ国内委員会の2つがあります。
- 日本ユネスコ協会連盟:民間団体
- 日本ユネスコ国内委員会:文部科学省が運営する政府組織
世界遺産の登録については日本ユネスコ協会連盟が中心になって活動しています。一方で日本ユネスコ国内委員会はユネスコの目的や活動理念を国内に広めていく広報的な役割を担っています。