この記事では、世界自然遺産の登録基準や登録の流れについて解説しています。
世界文化遺産、世界複合遺産について知りたい方は下記の記事をご覧ください。
世界自然遺産とは
地球の生成や動植物の進化を示す、地形や景観、生態系などで、10個ある世界遺産の登録基準のうち、(ⅶ)~(ⅹ)のいずれか一つ以上を満たしている遺産が自然遺産となります。
世界遺産条約1章第2条には、自然遺産について以下の3つが定義されています。
- 無生物または生物の生成物・生成物群からなる特徴のある自然の地域であって、観賞上または学術上、顕著な普遍的価値を有するもの。
- 地質学的または地形学的形成物、及び脅威にさらされている動物または植物の種の生息地・自生地として区域が明確に定められている地域であって、学術上または保存上、顕著な普遍的価値を有するもの。
- 自然の風景地及び区域が明確に定められている自然の地域であって、学術上、保存上または景観上、顕著な普遍的価値を有するもの。
自然遺産の登録基準
(ⅶ)ひときわ優れた自然美や美的重要性をもつ、類まれな自然現象や地域。
(ⅷ)生命の進化の記録や地形形成における重要な地質学的過程、または地形学的・自然地理学的特徴を含む、地球の歴史の主要段階を示す顕著な見本。
(ⅸ)陸上や淡水域、沿岸、海洋の生態系、また動植物群集の進化、発展において重要な、現在進行中の生態学的・生物学的過程を代表する顕著な見本。
(ⅹ)絶滅の恐れのある、学術上・保全上顕著な普遍的価値をもつ野生種の生息域を含む、生物多様性の保全のために最も重要かつ代表的な自然生息域。
自然遺産の登録基準をすべて満たす世界遺産
自然遺産の登録基準(ⅶ)~(ⅹ)を満たす世界遺産は意外と多く、10以上存在します。
代表的な例としては、
- グレート・バリア・リーフ(オーストラリア)
- バイカル湖(ロシア)
が挙げられます。
自然遺産の世界遺産リストへの登録の流れ
上図のように、自然遺産の登録は途中までは文化遺産と同様の流れをたどります。
世界遺産条約締結後の登録の流れは下記です。
- 各国政府が自国内の暫定リストを作成・提出
- 暫定リストに記載された物件から要件が整ったものを推薦
- ユネスコ世界遺産センターが各国政府からの推薦書を受理
- 物件の現地考査を依頼
- IUCN(国際自然保護連合)が調査
- 調査結果をユネスコ世界遺産センターに報告
- 世界遺産委員会にて候補地を審査し、世界遺産リストへの登録を決定
参考:IUCNとは