人間と生物圏計画(MAB計画)とは、ユネスコの長期政府間共同研究事業計画として発足した研究計画のことです。一般的にMan and Biosphereの頭文字を取ってMAB(マブ)と呼ばれることが多いです。
MAB計画は、社会生活や商工業活動等の人間の営みと自然環境の相互関係を理解し、環境資源の持続可能な利用と環境保全を推進することを目的とし、人類と環境の接点に注目し、そこで起こりつつある問題の解決を目指しています。
生物圏保存地域とその区域分け
MAB計画では、生物多様性を保全するための地域として生物圏保存地域を定めています。
その中でも区域分けが行われており、
- 核心地域(コア・エリア)
- 緩衝地帯(バッファー・ゾーン)
- 移行地帯(トランジション・エリア)
の3段階に分けて保護を推進しています。
核心地域(コア・エリア)
生物多様性を保全する区域そのものを指します。世界遺産条約では、核心地域のことを「資産(プロパティ)」と呼びます。
緩衝地帯(バッファー・ゾーン)
核心地域の周囲に指定される、生物多様性の保全を妨げる活動を制限する地帯です。
一定の人間活動の影響を受けるエリアとなり、保全と生活のバランスが重視されます。
2005年からバッファー・ゾーンに関する作業指針が示され、自然遺産にも文化遺産にもバッファー・ゾーンの設定が求められるようになりました。
移行地帯(トランジション・エリア)
緩衝地帯の周囲に指定される、保全を基調とした持続可能な社会経済開発ができるエリアのことです。
日本で生物圏保存地域に指定されている場所
生物圏保存地域は「ユネスコエコパーク」と呼ばれています。
2023年6月現在、認定地域数は134か国748地域あり、うち日本国内は10地域が指定されています。
- 志賀高原
- 白山
- 大台ヶ原・大峯山・大杉谷
- 屋久島・口永良部島
- 綾
- 只見
- 南アルプス
- 祖母・傾・大崩
- みなかみ
- 甲武信
ユネスコエコパークは自然保護と地域の人々の生活が両立する、持続的な発展を目指しています。これらの10地域は日本ユネスコパークネットワーク(JBRN)を構成し、定期的な交流をして各地域の保全活動に協力して取り組んでいます。