シリアル・ノミネーション・サイト(連続性のある遺産)とは、文化や歴史的背景、自然環境等が共通する資産を、全体として顕著な普遍的価値を有するものとして登録した遺産のことです。
シリアル・ノミネーション・サイトの定義
作業指針の中では、シリアル・ノミネーション・サイトは以下のように定義されています。
- 同一の歴史・文化群に属するもの
- 地理区分を特徴づける同種の資産であるもの
- 同じ地質学的、地形学的、または同じ生物地理区分もしくは同種の生態系に属するもの
個々の構成遺産がすべて顕著な普遍的価値を有するものである必要はなく、全体として顕著な普遍的価値を有するものであれば良いとされています。
ロワール渓谷(フランス)のように1つの締約国の中にすべての資産が含まれる場合もありますし、トランスバウンダリー・サイトになることもあります。
トランスコンチネンタル・サイト
シリアル・ノミネーション・サイトは、時に国境を越えるだけではなく、トランスコンチネンタル・サイト(大陸を越える遺産)となるケースもあります。
たとえばフランスが主導で登録推薦が行われた「ル・コルビュジエの建築作品 ‐ 近代建築運動への顕著な貢献」は、フランス、ドイツ、ベルギー、 スイス、日本、インド、アルゼンチンの7か国に点在しています。
こうした大陸を越える世界遺産の場合、文化圏も大きく異なり、法制度や保全体制に大きな差異があります。そのため、遺産全体の管理が難しいという課題があります。