WORLD HERITAGE
サモス島のピュタゴリオンとヘラ神殿
ギリシャのサモス島には、古代港湾都市ピュタゴリオンと女神ヘラの聖域ヘラ神殿が残ります。両側から掘削した地下水道、古代港と城壁、神殿・奉納品、イオニア世界の地中海交流、発掘後の石材・海岸環境の保全を解説します。

ESSENTIAL FACTS
基本情報と登録基準
- 登録年
- 1992年
- 登録基準
- (2)・(3)
- 種類
- 文化遺産
- 国・地域
- ギリシャ
WHY IT MATTERS
この世界遺産について
サモス島のピュタゴリオンとヘラ神殿とは
ギリシャ東部、エーゲ海のサモス島にある文化遺産です。1992年に基準(ii)(iii)で登録され、登録面積は668.35ヘクタールです。古代の港湾都市ピュタゴリオンと、その約6キロメートル先にあるヘラの聖域が一つの遺産を構成します。
海上交易を支えた都市
小アジアに近いサモスは、紀元前6世紀に東地中海の有力な海上交易の中心となりました。港と城壁、水供給の施設、神殿は、都市の力を別々の形で伝えます。基準(iii)は、この時期の海洋・商業勢力としての重要性を、豊富で広範囲な考古遺跡が証言する点に対応します。
山の両側から掘った水道
紀元前6世紀のエウパリノスのトンネルは長さ1,036メートルです。ギリシャの文化資源開発機構ODAPの解説では、二つの作業班が山の両側から同時に掘り進み、陶製の管で都市の貯水施設や泉へ水を送ったとされています。作業者は油の灯火を使い、空気の悪化を伴う困難な地下作業を続けました。測量の巧みさとともに、掘削を担った人びとの労働があった施設です。
建て替えが生んだ神殿の革新
ヘラの神殿には複数の建設段階があります。UNESCOは、紀元前8世紀の神殿、前7世紀の後継建築、前6世紀の巨大なイオニア式神殿への発展を説明しています。各地からの奉納品も集まり、聖域は島内に閉じない交流の場でした。
基準(ii)は単に「文化が交流した」という意味ではありません。ヘラ神殿の各段階の様式・構造上の革新がギリシャ世界の神殿や公共建築に影響し、水道の技術が土木・公共事業の模範となった点が評価されています。
地下の壁と聖域の水を守る
水道の修復研究では、古代の石積みの壁やヴォールトに変形・損傷があることから、地中レーダーと電気比抵抗探査を用いて壁の厚さや背後の空間を調べています。これは設計を支える調査の報告であり、すべての問題が解消したことを示すものではありません。
ヘラの聖域では、UNESCOが高い湿度や降水に伴う植生の繁茂と滞水を課題に挙げ、植生の除去と海への排水を説明しています。地下の水道と地上の聖域では、同じ水でも保存上の問題の現れ方が異なります。公開経路や工事状況は変わるため、訪問前に管理機関の案内を確認してください。
参考文献
- UNESCO:Pythagoreion and Heraion of Samos
- Hellenic Heritage:Tunnel of Eupalinos
- The Walls of Eupalinos Aqueduct:修復調査論文
世界遺産検定のポイント
ギリシャの文化遺産で、1992年登録、基準(ii)(iii)。サモス島の古代港湾都市とヘラの聖域が対象です。紀元前6世紀のエウパリノスの水道トンネルと、ギリシャ建築へ影響した神殿の革新が特徴です。
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EXAM ESSENTIALS
世界遺産検定で押さえるポイント
- ギリシャの文化遺産で、1992年登録、基準(ii)(iii)。
- サモス島の古代港湾都市とヘラの聖域が対象です。
- 紀元前6世紀のエウパリノスの水道トンネルと、ギリシャ建築へ影響した神殿の革新が特徴です。
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