WORLD HERITAGE
サナア旧市街
標高約2,200mに塔状住宅が密集するイエメンの生きた歴史都市です。建築、イスラム初期の都市構造、三つの登録基準、2015年から続く危機遺産、紛争・豪雨・建物崩壊への対応を解説します。

ESSENTIAL FACTS
基本情報と登録基準
- 登録年
- 1986年
- 登録基準
- (4)・(5)・(6)
- 種類
- 文化遺産
- 国・地域
- イエメン
WHY IT MATTERS
この世界遺産について
基本情報と遺産の価値
サナア旧市街はイエメンの山間盆地、標高約2,200メートルに位置する歴史都市です。1986年に登録基準(iv)(v)(vi)で世界遺産となりました。石造の地上階の上に版築や焼成煉瓦で数階を積み、白い石膏と煉瓦の幾何学模様で飾る塔状住宅が密集します。モスク、浴場、隊商宿と、ブスターンと呼ばれる庭園が街区を構成します。
二千五百年以上続く都市の歴史
サナアには2,500年以上にわたる居住の歴史があります。紀元前2世紀にはイエメン諸王国の拠点となり、紀元1世紀には内陸交易の中心へ発展しました。6世紀のアビシニア支配期にはキリスト教の影響も及び、7~8世紀にはイスラムの拡大における重要な中心となりました。
建て替えながら受け継いだ街
16世紀以降のオスマン支配期の再建や西側への拡張でも、初期イスラム都市に由来する空間秩序が受け継がれました。UNESCOの顕著な普遍的価値の説明は、旧市街の住宅自体には比較的新しい建築もあり、伝統的な構造が保たれているとしています。現在の住宅すべてが千年以上前のまま残るという意味ではありません。
塔状住宅と庭園
多層の住宅は、防御できる城壁内に多くの住民の居住空間を確保する工夫です。煉瓦模様と白い石膏装飾は、地元の材料を使う職人技を伝えます。密集した建築の間に残る庭園や空地も、都市の価値を担う要素です。住宅だけを取り出すと、この建物と開放空間の組合せを見落としてしまいます。
三つの登録基準
基準(iv)は、初期イスラム期の空間構成を伝える調和した建築群を評価します。(v)は、社会変化によって脆弱になった伝統的な人間居住の顕著な例である点、(vi)はイスラム初期の信仰の広がりとの直接的な関係に対応します。
紛争と豪雨の中での保全
2015年に危機遺産一覧表へ記載され、2026年10月31日のUNESCO登録欄でも継続しています。2026年の世界遺産委員会決議は、紛争被害、安全上の課題、建物の劣化、極端な降雨、資源不足を挙げる一方、緊急保存と資金確保の努力を認めました。ハラカ市場と周辺スークの改修には、遺産影響評価を含む技術的勧告の実施を引き続き求めています。
住宅を支える若い技術者
UNESCOが2025年8月に紹介した土木技術者モハメド・アルラッザキは、2021年の大学卒業後、修復を通じた雇用事業の研修生となりました。旧市街のアルラウニ邸では、傷んだ基礎、不適切な増築、近隣の空爆などが重なった建物を担当しています。記事は、段階的に建物を支えながら状態を見極め、健全な元の石材は清掃して戻すという本人の説明を伝えます。修復は外観を塗り直すだけでなく、構造を調べ、住民や職人と調整する仕事でもあります。
世界遺産検定のポイント
イエメン、1986年登録、基準(iv)(v)(vi)の文化遺産です。標高約2,200メートル、塔状住宅、版築・焼成煉瓦・石・白石膏、庭園ブスターン、7~8世紀のイスラム拡大が要点です。危機遺産への記載は2015年から継続しています(2026年10月31日確認)。保全活動の実施は、旅行の安全が確保されたことを意味しません。
参考文献
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EXAM ESSENTIALS
世界遺産検定で押さえるポイント
- イエメン、1986年登録、基準(iv)(v)(vi)の文化遺産です。
- 標高約2,200メートル、塔状住宅、版築・焼成煉瓦・石・白石膏、庭園ブスターン、7~8世紀のイスラム拡大が要点です。
- 危機遺産への記載は2015年から継続しています(2026年10月31日確認)。
- 保全活動の実施は、旅行の安全が確保されたことを意味しません。
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